こんにちは、かとえりです。
すっかり気温も下がってきて、秋も半ば冬がそろそろやってくることを感じさせる気候になってきました。冬に近づいてくると空気が乾燥してくるので、痰が出たり、空咳、喉の痛みといった症状が現れます。
こうした症状を放っておくと、風邪やウイルスなどが体の中に侵入しやすくなってしまいますので、秋は冬の寒い季節の到来に備える時期でもあります。
今回は、そんな秋にぴったりのハーブ「タイム」を紹介します。
目次
タイムとは?
タイムの学名「Thymus」はギリシャ語のThymos「香らせる」という意味から由来するほど、タイムは香りの強いハーブです。
加熱をしても香りが飛ばないので、香り付けや臭み消しとして料理によく使われる私たちにとってとても身近なハーブです。タイムの歴史はとても古く、紀元前3500年前から古代エジプト人に利用されていたとされています。当時はタイムの防腐効果の高さから、ミイラの防腐剤に使用されていたほか、空気の浄化や疫病蔓延の予防にも使用されていました。またその強い匂いから、タイムの匂いを嗅ぐだけで勇気と強さが得られると思われており、中世時代の貴婦人はタイムとミツバチを刺繍したスカーフを戦争にいく恋人や夫に贈る習わしがあったと言われています。
地中海沿岸を原産地としており、高温多湿に弱いため、風通しをよくして乾燥気味に育てることがコツです。比較的育てやすいハーブで、料理をはじめとした様々なシーンに使える万能ハーブなので、一株持っていると重宝するハーブです。
タイムの効能
タイムの効能といえば、呼吸器系である肺を強くすることでしょう。
タイムに含まれるサポニンという成分が粘液を除去し、痰や咳を鎮めてくれると言われています。そのため、気管支炎、上気道カタル、喘息などに使用されることが多いハーブです。∗1
タイムの葉はチモールと呼ばれる揮発性油を多く含んでおり、防腐作用が高く、感染症を体の内外から治す効果があると言われています。∗2 またタイムには消炎作用もあるため、喉の痛み、扁桃腺炎、咽頭炎、歯肉炎、口内炎などにも使用されるほか、マウスウオッシュとしてもよく使われています。
その他、消化不良の改善や女性の生殖器の調子を整えるためにもタイムは使われており、心身への強壮作用に優れたハーブの一つといえます。
参考書籍
∗1:一番わかりやすいハーブティー大辞典:ナツメ社(2011)
∗2:PUKKAのハーブティーレシピ:KADOKAWA(2019)
タイム効能のまとめ
- 呼吸器系を強くする
- 抗菌作用
- 痰を取り除き、咳を沈める
- 防腐作用
- 消炎作用
- 消化不良の改善
- 女性の生殖器の調子を整える
タイムの種類
タイムは常緑低木で、その生え方などの形状や香りなど違う品種が様々あります。
その中でも一般的にタイムというと「コモンタイム」のことをさしており、メディカルハーブでもこちらの品種を使用します。
コモンタイム
加熱しても香りが飛ばないため、香りづけや臭み消しに利用される。
高さ30cmほどの立ち性の常緑小低木。初夏から夏にかけて小さい花を咲かせ、ハチを呼ぶ。
レモンタイム
レモンのような香りで、フレッシュで使用することが多い。
シルバータイム
葉にシルバーの縁取りが入るタイプで、料理にも使える。
ゴールデンレモンタイム
葉に黄色の縁取りが入り、レモンの香りがするタイム。
クリーピングタイム
ヨーロッパで広く分布する種。高さ10~15cmの匍匐性タイム。
ハーブティーにすると、風邪の予防や喉の痛みに効果的で飲みやすい。
イブキジャコウソウ
クリーピングタイムの亜種。日本に唯一分布するタイム。
滋賀県の伊吹山に自生し、全草にジャコウのような香りがあることから、イブキジャコウソウと呼ばれるようになった。
ウーリータイム
匍匐性で横に生え広がる。葉が毛で覆われているため、ウールのような感触がするのが特徴。ヨーロッパ原産。
『ハーブの全てがわかる事典』より
タイムの使い方
料理
タイムといえば「料理」と言えるほど、馴染みのあるハーブではないでしょうか。
よく一般的に使われるのがコモンタイムで、別名ガーデンタイムとも呼ばれています。大半の他のハーブとは違い、長時間の煮込み料理などにも適しているため、シチューやポトフなどにもよく使われます。
レモンの香りがするレモンタイムは、コモンタイムの次に重要なハーブで、魚介類やローストチキン、ビスケットやパン、フルーツサラダにも使用できます。
チンキ剤
タイムのチンキ剤はその抗菌作用から、口臭予防、口内炎、喉の痛みなどを軽減させるため、うがい薬として使用しても良いでしょう。
チンキ剤は、ドライまたはフレッシュハーブをアルコール単独またはアルコールと水をブレンドしたものに漬けて作られます。
とても簡単に作ることができるので、興味のある方はぜひ試してみてくださいね。
ハーブティー
呼吸器系に良いタイム。肺をすっきりとさせ、粘液や胸苦しさを取り除くのに役立つタイムは、風邪予防、インフルエンザ、気管支炎や咳を止めたいときに飲むと良いとされています。
肺を潤すハーブティー
これから寒くなると、風邪やインフルエンザが流行る季節になります。今回はそんな冬の備えとして、秋にぴったりな肺を潤すハーブティーをご紹介します。
材料
- レモングラス(レモンバーム) 4g
※レモングラスが好ましい。レモンバームを使用する際は、レモンバーベナ等を混ぜるとより味に深みがでる。 - タイム 3g
- バジル 2-3g
- ジンジャーパウダー 2g
- ペパーミント 2g
- はちみつ お好みで
ハーブティーを飲んでみた感想
料理にはよく使うタイムですが、ハーブティーとしても美味しいとハーブの教室で聞いたので試してみました。今回は家にあるハーブで作ったので、正直何か足りない薄っぺらな味でした。反省点としては、レモングラスがなかったのでレモンバームで代用したのですが、レモングラスを使用した方が味に深みが出たかと思います。また、家にあったタイムが細くて少し元気がなかったので、もっと青々とした香りの良いものを使えばよかったかと思います。
タイムは少し薬っぽい味がするので、ハーブティーにする場合は少なめに入れてみると良いかもしれません。同じ種類のタイムでも、育った環境により香りの強さが全く違います。
参考までに分量を載せていますが、みなさんのお手元にあるタイムの香りに合わせて量を調節してみてくださいね。
今回はスーパーなどで売っている緑色のスイートバジルではなく、紫色のダークオパールバジルを使用したので、ハーブティーの色が青っぽくなりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
タイムはクッキングハーブとしての印象が強いハーブですが、ハーブティーやチンキ剤を使ったうがい薬など、様々な使用方法がある万能ハーブの一つです。
これから乾燥してくる季節になるので、ぜひタイムを日々の暮らしに取り入れ整えておきましょう!
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